年金だけでは生活が厳しい場合の対処法をご紹介。具体的な補う方法や制度を分かりやすく解説します。
更新日:2026-03-31
老後の生活費が足りないと感じる方は多いですが、まずは自分の年金がなぜ少ないのかを理解することが大切です。
年金額は、働いていた期間の長さと給与の金額で決まります。例えば、若い頃にパートタイムで働いていた方や、途中で仕事を辞めていた時期がある方は、年金が少なくなる傾向があります。
現在の平均的な厚生年金(会社員がもらう年金)は月額約15万円程度ですが、国民年金(自営業者やフリーランスがもらう年金)は月額約5万5千円程度です。このように、働き方によって大きな差があるのです。
自分がいくらもらっているのか、年金事務所から届く「年金定期便」で確認してみましょう。
年金を受け取る年齢を遅くすることで、もらえる金額を増やすことができます。これを「繰り下げ受給」と言います。
通常、65歳から年金をもらい始めますが、70歳まで待つと、65歳でもらう場合と比べて42%多く受け取ることができます。例えば、65歳でもらえるはずだった月額15万円なら、70歳から受け取ると約21万3千円になるということです。
ただし、繰り下げ受給は健康で長生きが見込める場合に有利です。75歳以降も生きることが予想される方にはメリットがあります。
一方、すぐに生活費が必要な場合は、この方法は向きません。自分の人生設計をよく考えてから判断することが重要です。
年金を補うもっとも直接的な方法は、働くことです。60代や70代でも活躍できる仕事は多くあります。
例えば、コンビニエンスストアやスーパーの店員、図書館のスタッフ、ビルの管理人など、身体的な負担が少ない仕事があります。また、自分の経験を活かしたアドバイザーや講師という選択肢もあります。
重要なのは、年金と給与を合わせた所得が一定額を超えると、年金が減額されるという「在来老齢年金(ざいらいろうれいねんきん)」という仕組みがあることです。60歳から65歳の間に働く場合は特に気をつける必要があります。
月5万円の仕事を始めれば、月額の生活費がぐっと楽になります。無理のない範囲で、自分に合った仕事を探してみましょう。
年金だけでは本当に生活できない場合、生活保護という最後の社会保障制度があります。生活保護は、誰もが受けられる権利があり、恥ずかしいことではありません。
生活保護を受けるには、本人および家族の収入や資産が一定以下であることが条件です。例えば、一人暮らしの高齢者なら、月額の生活費の基準額(地域によって異なりますが、約12万~15万円程度)以下の場合、申請資格があります。
また、生活保護以外にも、自治体ごとの支援制度や、医療費の減免制度など、利用できる制度があるかもしれません。
市役所や福祉事務所の相談窓口に行くことで、自分が受けられる支援について詳しく教えてもらえます。不明な点や困ったことがあれば、遠慮なく相談してみてください。
自宅や土地などの資産がある場合は、それを活用して生活費を補うことができます。
最も一般的な方法は「リバースモーゲージ」です。これは、自宅を担保にして銀行からお金を借りる方法です。生きている間は毎月一定額を受け取り、亡くなった後に自宅を売却して返済するという仕組みです。例えば、評価額3,000万円の自宅なら、毎月8万~10万円程度を受け取ることができる場合があります。
また、「空き家活用」も選択肢です。使っていない実家がある場合、それを貸すことで毎月の家賃収入が得られます。
これらの方法は、自宅を手放したくない方や、子どもに残す資産がない場合に向いています。詳しくは、銀行や不動産会社に相談してみましょう。
年金を増やす、働く、支援を受けるのも大切ですが、生活費そのものを見直すことも重要です。意外と無駄な支出があるかもしれません。
例えば、新聞代(月3,000~4,000円)やスマートフォン(月5,000~10,000円)、サブスクリプション(動画配信など、月1,000~3,000円)など、本当に必要かどうか確認してみましょう。これらをやめるだけで、月1万~2万円削減できる可能性があります。
また、電気代やガス代も工夫次第で減らせます。エアコンの温度設定を工夫したり、電球をLEDに変えたりすることで、月1,000~2,000円程度の削減が可能です。
「小さなことだから」と思わず、すべての支出を見つめ直してください。月1万円の削減は、年間12万円の貴重な節約になります。
年金が少ない場合、介護費用についても心配かもしれません。介護が必要になると、さらに生活費が増えます。
65歳以上の方は全員「介護保険」に加入しています。これは、介護が必要になったときに、その費用の一部を社会全体で支え合う仕組みです。要介護認定を受けると、自宅での介護サービスや施設での介護など、必要なサービスを1~3割の負担で利用できます。
例えば、月3万円のデイサービスを利用する場合、実際の負担額は1~3割なので、月1~9千円の負担で済みます。
ただし、介護保険でカバーできない部分(食事代や施設での日用品など)の費用は自己負担です。今のうちから、介護が必要になった場合の費用について、地域包括支援センターや市役所で相談しておくことをお勧めします。
年金が少なくても、工夫と準備によって穏やかな老後生活は十分可能です。大切なのは、早めに対策を始めることです。
まず今日からできることは、自分の年金額を正確に把握することです。年金定期便を確認し、足りない額がいくらなのかを明確にしましょう。
そして、繰り下げ受給、軽い仕事、生活費の削減、利用できる公的制度など、複数の方法を組み合わせることが、最も効果的です。例えば、月5万円のパート + 生活費1万円削減 + 繰り下げ受給による増額 = 月10万円以上の生活費補填が可能になります。
一人で悩まず、市役所の福祉窓口や年金事務所、地域包括支援センターなど、専門家に相談することも大切です。あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスがもらえます。
⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、年金事務所・市区町村の窓口・専門家にご相談ください。